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「グラジュエイト・リキシ・リターンズ」#3

Bitsnats

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03-20 08:49

びっつ作、浅香山学園高校を舞台に繰り広げられる空想活劇学園姫相撲小説「好角綺童隊」のtwitter連載版
03-20 08:49

番外編「夜叉椿の決意」より「グラジュエイト・リキシ・リターンズ」#3
03-20 08:50

金髪碧眼に桃色のまわし。姫力士としては異色な出で立ちの少女が二番手に名乗りを上げた。「拙者、スヴェトラーナと申す。お見知りおきを」時代劇めいた台詞を吐く留学生姫力士に夜叉は小さく頷いた。 1
03-20 08:52

日本の時代劇をこよなく愛するこの露西亜娘の外見的特徴は頭頂部で高く結い上げたポニーテールだ。この髪型は江戸時代の聾唖剣客ササキ・コジローへのオマージュであるとは本人の弁である。 2
03-20 09:02

但し台詞が「アウアウアー!」のみのササキ・コジローと異なりスヴェトラーナの語彙は豊富だ。並の日本人を上回るボキャブラリーを駆使し機関銃めいた挑発を取組前に浴びせかけるのは彼女の常套手段。 3
03-20 09:10





「貴殿は女性(にょしょう)にも関わらずサムライの雰囲気を纏っておられるな」「・・・」妙な台詞回しに夜叉椿は無言のままだ。「このような気骨ある撫子と出会えた事、拙者にとって無上の慶びである!」 4
03-20 09:35

「・・・」珍しく賛辞を述べるスヴェトラーナだが夜叉の反応は薄い。「すべちゃん難しい言葉を使うからね~。たまにワケわかんないよ」行司役の葵がつぶやく。それは実際夜叉の思いを代弁していた。 5
03-20 09:46

「・・・確かによくわかんないな。ま、姫力士ならこっちで語ろう」夜叉は自分のまわしを力強く叩いてから蹲踞の姿勢を取る。外国人の操る日本語が難解すぎて返答に窮したなどと言えるわけがない。 6
03-20 09:56





「益々もってモノノフよ。我が母校がかような先達を輩出したとは、拙者も鼻が高いわ」夜叉が困惑しているとも知らず勝手に得心したスヴェトラーナも仕切り線に右手を置いて身構える。 7
03-20 10:05

「・・・鼻じゃなくて頭が高いよね」周りに聞こえぬよう小声でぼそりと吐露し、二人の間合いを確認した葵が声を掛ける。「手を付いて待ったなし・・・」「むっ!」「んっ!」「・・・はっけよいっ!」 8
03-20 10:11

両者とも低く立った。スヴェトラーナが両腕を真っ直ぐ伸ばして夜叉の肩口を勢いよく突く。諸手突きで相手の上体を起こすのが狙いだ。いや、それだけではない。懐に潜られるのを嫌ったのである。 9
03-20 10:19

朱里との一番を見て組み付かれては到底敵わないと看破したスヴェトラーナは徹底して離れた相撲を取ると決めた。左右の張り手が交互に夜叉の肩、胸、そして顔面に炸裂。思わぬアンブッシュ! 10
03-20 10:26





「くうっ」虚を突かれた夜叉。大車輪めいて襲い掛かるスヴェトラーナの突っ張りが所構わず直撃する。とにかく脇を締めて懐に飛び込みたい夜叉だがスヴェトラーナも手数の多さで易々と突破を許さない。 11
03-20 10:37

「千の突っ張りには二千の突っ張りを以て返すべし」平安時代の伝説ヨコヅナ・マサシ丸のコトワザである。しかし夜叉は突っ張り合いには一切付き合わない。最短距離から愚直なぶちかましを狙うのみ! 12
03-20 10:43

スヴェトラーナにとって反撃せずに頭から突っ込んでくる夜叉は速射砲の格好な的! プッシュプッシュ!! しかし夜叉は下がらない。執拗なプッシュ! ダメージは与えている筈。だが夜叉は下がらない! 13
03-20 10:44

「おのれ!」業を煮やしたスヴェトラーナの突き押しが更に激しさを増す。だがその弾着精度が若干ブレ始めた。肩口を狙った突っ張りが皮膚を掠め、顔面への張り手は夜叉の頭髪をふわりとかき上げる。 14
03-20 11:12

夜叉が攻撃を見切っているわけではないし、そんな器用な真似が出来る姫力士でもない。強いて言うならば決して下がらない夜叉椿がスヴェトラーナを知らず知らず委縮させていたというべきか。 15
03-20 11:12

相手の突き押しが雑になってきたのは夜叉も気付いていた。しかし命中精度が落ちているとはいえスヴェトラーナの重い攻撃は未だに脅威だった。(くっ、佐倉でいえば姫さんの取り口に似ているか・・・) 16
03-20 11:13

攻撃に耐えつつ相性が悪い同輩の取り口を思い出す。(仮想敵としてはもってこいの相手だ。組み合ってから私の寄りが通用するのか存分に試させてもらう!)更に頭を低くしてぶちかましを狙う。 17
03-20 11:14

上からはたかれたら土俵に這いつくばる危険性がある。しかし直線的な攻めを見せるスヴェトラーナはそんな小技を使ってこないという確信があった。(もっと踏み込みを鋭くして懐に飛び込む!) 18
03-20 11:15

それにはスヴェトラーナの打突予定ポイントを彼女の予測を上回るスピードで通過する必要がある。『やっ子、馬鹿正直なぶちかましもイイけどよ、も少し緩急つけな。』姉弟子のアドバイスが脳裏をよぎる。 19
03-20 11:17

((ここだっ!))二人同時に心の中で叫んでいた。スヴェトラーナは右腕をコンパクトに振りかぶり夜叉の顔面へ張り手をロックオン! その動きを読み切ったように夜叉のギアが一段上がる。ゴウランガ! 20
03-20 11:18

「むっ!」予測していた速度を上回る踏み込みにスヴェトラーナは驚愕! 前に突き出した右腕が夜叉の残像を振り抜いて空を切る。ズンッ! 反対に重い衝撃が胸元に走り、一瞬呼吸が止まる! 21
03-20 11:19

夜叉椿の頭突きめいたぶちかましがスヴェトラーナの右乳房を直撃していた。間髪入れず顎下に頭を付けて相手を抱きすくめる。やや半身となったスヴェトラーナは諸差しを許し一気に形勢逆転! 22
03-20 11:19





捕獲に成功した夜叉は右手でまわしの結び目近くを、左手で前みつを引き付け、怒涛のがぶり寄りに移行する。スヴェトラーナも夜叉の肩越しから右上手を引きつけ返すが左手がまわしに届かない! 23
03-20 11:23

夜叉の右腕(かいな)をおっつけて前みつを切りに掛かるが、まわしをがっちり掴んだ右手は容易に外れない。その間にも夜叉は電車道。一呼吸の間に土俵際まで押し込まれるスヴェトラーナ。 24
03-20 11:24

「うぬっ!」スヴェトラーナとて突き押し一辺倒の姫力士ではない。母国ロシアではサンボとレスリングを学び、組み技格闘にも素養はあるのだ。しかし今回は組み付かれた時の体勢が悪すぎた。 25
03-20 12:02





ほぼ半身の体勢で頭を付けられ諸差しを許し、夜叉の大攻勢をスヴェトラーナは左足一本俵に預けた状態で耐え忍ぶ。残された頼みの綱は深いところを引いた右上手だけだった。 26
03-20 12:03

万全の体勢だが念には念を入れて腰をぐっと落とす。あと一押しで相手を土俵外へ追いやれば終わりだ。これで最後、とがぶり寄りに出た瞬間、スヴェトラーナが足掻きを見せた。「ふんっ!」「な、何っ!?」 27
03-20 12:03

がぶり寄りで夜叉の腰が少し浮いた瞬間を衝いた捨て身の上手投げ! スヴェトラーナの剛力が夜叉の重い腰を引き上げに掛かる! しかし夜叉もこれに逆らわず上体を相手に被せていく。 28
03-20 12:03






ドサッ! 土俵外へ吹っ飛ぶような勢いで二人の身体が落ちた。上に乗っているのは・・・ 夜叉椿! スヴェトラーナ起死回生の上手投げを堪え切り、寄り倒しての勝利だった。これで夜叉椿ニ連勝! 29
03-20 12:06

一足先に立ち上がり、スヴェトラーナに手を貸す夜叉。「・・・拙者の完敗であった。流石職業姫力士、まごうこと無きツワモノよ」「・・・いや、最後の投げはヒヤリとした。あのパワーには脱帽するよ」 30
03-20 12:07

外国人姫力士の規格外のパワーに夜叉は実際驚いていた。(最後の詰めの瞬間、自分の心に隙はなかったか?)勝利を確信して攻めが雑になった感は否めない。反省点を謙虚に受け止める。 31
03-20 12:07

(それに・・・)互いに一礼を交わしつつ考え続けた。(圧倒的に有利な体勢だったにも関わらず投げられかけた。まだまだ甘い。これが互いに充分だったら・・・)いつしか夜叉は己の思念に没入していた。 32
03-20 12:15

「アノー、夜叉椿=サン・・・」不意に呼び掛けられ我に返ると、目の前に例の褐色少女が立っていた。確かタマと名乗った・・・ 「ドーモ。次、ワタシト一番オ願イシマス」屈託の無い笑顔でタマが言った。 33
03-20 12:15

「グラジュエイト・リキシ・リターンズ」#3おわり。 #4へつづく。
03-20 12:16

☆☆
03-20 12:16

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tag : 好角綺童隊3Dカスタム少女姫相撲twitter小説

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No title

3話待ってました。

本当は組んでも高いパワーのスベは2周目は勝ちそうなアトモスフィアを強く感じますね。
すべかわいいよすべ。
そして一番苦手なタイプっぽいタマちゃんが出陣・・・次回も待ち遠しいぜ。

No title

コメレス大変遅くなりました(汗
すべは見た目と喋りのギャップが気に入ってるキャラなのです。
離れても組んでもイケるパワーキャラって実は朱里と並ぶオールマイティキャラなんじゃないかと思ってます。
これからの活躍にご期待を。
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