2ntブログ

「グラジュエイト・リキシ・リターンズ」#4

Bitsnats

◆◆◆◆
05-06 06:07

びっつ作、浅香山学園高校を舞台に繰り広げられる空想活劇学園姫相撲小説「好角綺童隊」のtwitter連載版
05-06 06:07

番外編「夜叉椿の決意」より「グラジュエイト・リキシ・リターンズ」#4
05-06 06:07







微笑を湛え、静かに夜叉椿と対峙するタマ。互いの視線が交錯したその時、「ちょっとお待ちなさい!」2人の間に割り込む者が居た。「タマさんが出るまでもありませんわ。ここはわたくしが参ります!」 1
05-06 06:08

「秀=サン、イツモ美味シイトコ持ッテクネー」口を尖らせ異議を申し立てるがその目は笑っている。「ト、イウコトデ夜叉椿=サン、アトデ一丁オ願イシマスネー!」言い残してあっさりとタマが引き下がる。 2
05-06 06:18





「さて・・」じろりとこちらを向き直った黒ずくめの少女に夜叉椿は見覚えがあった。確か・・墨田秀。何ヶ月か前、尼子角刀団と佐倉との間で団体交流戦が行われた際にテロリストめいて乱入した女子校生。 3
05-06 06:19

その場に夜叉は居合わせなかったが、強引に取組を申し入れ佐倉の幕内力士を瞬殺し、更に尼子団の新人も圧倒したと聞いている。職業姫力士がアマチュアに連敗を喫したという一報には驚いたものだった。 4
05-06 06:20

尤も、その態度の悪さゆえ佐倉小路理事長の逆鱗に触れて成敗されたというが、ふてぶてしいまでの胆力が認められ後日若手育成合同稽古に招かれ研鑽を重ねたようだ。実力は確かなものがあるといえよう。 5
05-06 06:20

「そちらのメイド力士はお元気でやっているのかしら?」唐突に秀が問いを投げる。「・・瑠璃関か。合同稽古を境に自分の形を体得してメキメキ強くなっているよ。数ヶ月前とは別人のようにね」夜叉が答える。 6
05-06 06:21

幕内姫力士と理事長邸メイドという二足の草鞋を履いた苦労人が覚醒する切っ掛けとなったのが他ならぬ秀との邂逅だった。「それを聞いて安心しましたわ。少しは歯応えのある姫力士になったようですわね」 7
05-06 06:27

相変わらず上からの台詞だが好敵手の話題では鋭い眼光がやや柔和になる。だが四方山話に付き合う義理は無いとばかりに夜叉は踵を返す。己のまわしを一発叩き、徐々に集中力を高めていく。 8
05-06 06:28

相手に背を向け、一旦土俵外に出て大きな深呼吸をひとつ。気配を感じて目を開くと眼前に朱里が立っていた。黙ってタオルを差し出してくる。「・・ありがとう」連戦で汗にまみれた体を丹念に拭い、朱里に返す。 9
05-06 06:30

「あなたは私が倒す。だからそれまで他の誰にも負けないでください」夜叉の目を見据えて朱里が言った。「・・・頑張るよ」手短に答えて夜叉は対戦相手の方へ向き直った。秀は腕組みで夜叉を待ち構えている。 10
05-06 06:30

「手を付いて待ったなし」葵が二人に声を掛ける。低く仕切る夜叉とは対照的に秀は脇を開いた立ち気味の姿勢だ。(私の当たりを敢えて受け止めようというのか?)夜叉の立会いは実際それほど速くはない。 11
05-06 06:31

だが、姉弟子譲りの魂込めたぶちかましは強烈だ。(受けられるものなら・・)全身の筋肉を細バネ化収縮させ、軍配が返るのを待つ。(受けて見ろっ!)「はっけよいっ」夜叉は頭から相手に突っ込んでいく。 12
05-06 06:31

放たれた矢の如く直線的に接近する夜叉を、秀はその場で迎え撃つ。両腕を広げ原生林の王者ヒグマめいた構えのまま足裏一枚分飛び退いて衝撃を逃がす。(むっ!)当たりの軽さに違和感を覚える夜叉! 13
05-06 06:33

秀へ抱きつくように諸差しの体勢に持ち込んだが一瞬の躊躇が夜叉の突進力を弱めていた。その隙に秀は右腕を夜叉の首に巻き付け、左手は外から片閂で絞り上げる。夜叉はまわしに手が届かない。 14
05-06 06:33

間髪入れずに秀は上体を捻りながら首投げに移行! 同時に右足で夜叉の左足を跳ね上げ、むしろ柔道の大腰めいた複合技のアンブッシュ! 「うるああっ!」「くううっ!」しかし腰が重い夜叉も踏ん張る。 15
05-06 06:33




右足ケンケン一本で凌ぎながら絡め取られた足を外そうとするが、秀もオーガニック・タコめいて吸着し容易には離れない。「しぶといですわよ!」更に首へ圧し掛かるように捻りを加える。「さ、させるか!」 16
05-06 06:34

強引に振り回す秀に対し強靭な足腰と的確な体捌きで凌いでいるが、ここから逆に投げ返すスキルが夜叉には無い。これまで積んできた稽古が寄りに特化していたからだ。「こ、これは柔道の動き?」 17
05-06 06:34





秀の変則投げに食らいついていけるのは、夜叉椿自身がこの浅香山学園で柔道部に属していたからだ。柔道のワザマエはお世辞にも強くなかったが、未経験者だったら秀の初撃に屈していたかもしれない。 18
05-06 06:51

「うるあっ!」「んむっ!」土俵上で円を描くように秀がブン回す。首を抱え込まれたまま夜叉も食らい付く。過去二戦を見ても簡単に倒せる相手ではないと踏んではいたが、ここまで粘るとは秀も想定外! 19
05-06 06:52

終始攻め続けていながら根負けしたのは秀の方だった。片足立ちでのバランスキープが覚束なくなった為やむなく絡めた足をほどいた。これを反撃の起点と見定めた夜叉は上体を起こしつつ前へ出る。 20
05-06 06:52

しかし秀も夜叉の前進は想定内! 更に密着した夜叉が前に出る勢いを利用し払い腰めいた首投げを再び放つ。「おるああっ!」「んっ!」腰から跳ね上げるようなムーブだが今度は夜叉も慌てない。 21
05-06 06:52



秀夜叉くびなげ

土俵に根が生えたように踏ん張る夜叉の下半身は崩れない。「瑠璃関を屠ったのはこの技か!」「ふん、違いますわ!」以前は強引に攻め切る事に執着した秀だが、夜叉を崩せないと見るやすぐさま次の手に移行! 22
05-06 06:53

「ご覧になりたいのなら・・」正面から向き直るや右足を飛ばして大外から夜叉の両足を刈り払いに行く。「・・見せて差し上げますわ!」おおゴウランガ! これぞ交流戦の前哨戦で猛威を振るったSTO! 23
05-06 06:53

スペース・トルネード・オヒデ。それは柔道の大外刈りをベースに、プロレスのラリアットとリストクラッチ、相撲の浴びせ倒しの要素を組み込んだもの(Wikiより)この技を食らえば夜叉とてアブナイ! 24
05-06 06:55





首に巻きつけた右腕、両足を刈ろうとする右足が夜叉のバランスを一気に崩しに行くが、これも耐える! 日頃の稽古に裏打ちされた強靭な足腰のタマモノ! 更に上半身を被せてくる秀に懸命に抗う夜叉! 25
05-06 06:55

力任せの足払いでは倒せないと踏んだ秀は掛けた足を一旦跳ね上げて再度夜叉の足へ叩きつけに行く。ソバット・ケリめいたグレーゾーンの技! しかし夜叉の左足も無意識の内に秀の蹴り足を迎撃に行く。 26
05-06 06:55

再び両者の足が絡み合う。しかし秀の一方的攻勢だった初撃と違い、夜叉も刈り倒しに来ている。土俵中央で両者片足立ちのせめぎ合いだ。この間に押し込まれていた夜叉の上体も垂直姿勢に戻った。 27
05-06 06:55

「おぉるあぁぁっ!」突如夜叉が雄叫びを上がる。秀の仕掛けたSTOを逆に刈り返した掟破りの逆STOだ。たまらず後頭部から真っ逆さまに落ちていく秀! 受身の取れない恐怖に思わず目を閉じ身を竦める! 28
05-06 06:56

ドサァッ! 地響きを立て折り重なるように土俵へ叩きつけられる。二人分の体重が後頭部に集中! 鈍い痛撃が秀を襲う! 29
05-06 06:56

否、柔らかい感触が頭部を覆っていた。ハッと目を見開くと眼前にしかめっ面した夜叉の顔。右手をヒラヒラ振っていた。咄嗟に秀の後頭部を掌でかばい手! 衝撃は右手の甲が一手に引き受けた格好だった。 30
05-06 07:01

先に立ち上がり左手を差し出す夜叉。一瞬躊躇の後、その手を取って秀も起き上がった。「と、とりあえず・・・ ありがとう、と言っておきますわ」「いや、礼を言いたいのは私の方だよ」「え?」「いいヒントを貰った」 31
05-06 07:01

謎掛けめいた言葉に首を傾げる秀。その顔を直視しながら夜叉が言う。「柔道技を柔軟に応用するアイデアはいい。だけど対戦相手を潰しかねない技はどうかと思うな」暗にSTOを繰り出す危険性を説く。 32
05-06 07:02

普段の秀なら盛大に反論しているところだが、実際夜叉に身を以て示されている所為か今は大人しい。「ふ、ふん。わたくしの技で何か閃いたんなら何よりですわ」そう強がるのが精一杯のところだった。 33
05-06 07:02

「ああ、ありがとう。もう少し工夫が必要だろうけどね」漸く笑顔を見せて礼を交わす。これで夜叉椿は土付かずの3連勝。ツヨイ! 「夜叉関、これを」今度はスヴェトラーナが手拭いを差し出した。 34
05-06 07:02

礼を言い汗を拭っていると「あと3人。丁度半分だから一旦休憩してから続きと行きましょうか」朱里が提案する。「・・・私は続けてもいいけど、残ったメンバーの実力も未知数だし、お言葉に甘えようか」 35
05-06 07:02

当初は懐疑的だった夜叉椿の実力が膨大な稽古量に裏打ちされたホンモノだと気付いた朱里は、いつしか夜叉を『排除すべき外敵』から『倒すべき強敵』へと目線をシフトしていた。「次は・・・ 必ず勝つ!」 36
05-06 07:03

「グラジュエイト・リキシ・リターンズ」#4おわり。 #5へつづく。
05-06 07:03

☆☆☆
05-06 07:03

関連記事

テーマ : こんな可愛い子が・・・
ジャンル : アダルト

tag : 好角綺童隊3Dカスタム少女佐倉姫相撲姫相撲twitter小説

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

びっつ

Author:びっつ
カスタム少女姫相撲ブログにようこそ。

最新記事
カテゴリ
投票所
無料アクセス解析
ツイッター小説
月別アーカイブ
最新コメント
リンク
検索フォーム
アクセスカウンター

現在の閲覧者数:
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

RSSリンクの表示