「グラジュエイト・リキシ・リターンズ」#2
Bitsnatsびっつ作、浅香山学園高校を舞台に繰り広げられる空想活劇学園姫相撲小説「好角綺童隊」のtwitter連載版
02-11 10:56番外編「夜叉椿の決意」より「グラジュエイト・リキシ・リターンズ」#2
02-11 10:57ズンッ 高々と上がった足が土俵を踏みしめる。四股踏みは地中の邪気を祓い大地を鎮める神事から発したものという説があるが、夜叉椿の四股は正に姫相撲部の土俵を浄めるようなアトモスフィアを醸し出す。 1
02-11 10:57黙々と四股を踏み続けた夜叉の全身は既に汗まみれだ。「夜叉関、一丁申し合いをお願いします」タオルで汗を拭っていると朱里が声を掛けてきた。姫相撲部の部長自らが先陣を切っての出馬である。 2
02-11 10:57「うん、やろう」表情には現さないが夜叉の心は躍っていた。紅野朱里。おてんば相撲で全国を3度制した強豪。年下だが油断はできない。更に朱里と6年間優勝を争った葛城葵も同門で互いに研鑽を重ねている。 3
02-11 10:58アマチュア相手と見くびる気はさらさら無い。夜叉は後輩の眼光を受け止めながら気を引き締めた。仕切り線を挟んで向かい合う。体型はほぼ互角。鍛えられた筋肉がうっすらと脂肪に覆われている理想的な肉体。 4
02-11 10:58互いに右手を仕切り線に置く。「お願いします」夜叉が発した言葉に朱里は驚いた。なるほど先輩風どころかプロの傲慢さが欠片ほども無い謙虚さ。「こちらこそお願いします」思わず朱里もアイサツを返していた。 5
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02-11 11:00「手を付いて待ったなし」行司役は葵。「見合って、はっけよいっ！」掛け声と共に両者弾かれたように飛び出した。バシッ！互いの肩と胸が激しくぶつかり合う。「ふんっ！」「うぐっ！」先ず当たり勝ったのは夜叉！ 6
02-11 11:02速攻小結の小日向を姉弟子と仰ぎ、毎日強烈な当たりを受けている体幹の強さは伊達ではない。すぐ得意のがぶり寄りを狙って両まわしを伺う。だが仰け反った朱里も次の瞬間右の差し手を捻じ込んでくる。 7
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